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レポート ジブリッシュ,マインドフルネス,ラフターヨガ

【レポート】〜これからのビジネスに必要な”感じる力”を育てる〜

開催レポート

2017.6.5 (月) 19:00-21:00

★Don’t think. Feel!

レポート詳細

■「笑い」で心を整える  
 近年注目され、米国の名だたる大企業でも採用、実践されている「マインドフルネス」。日本マインドフルネス学会の定義によると「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態でただ観ること」とある。少し噛み砕いて言えば「雑念を捨て、ありのままを感じること」といった感じだろうか。これからのビジネスには、冷静に事象を見つめる論理的な考え方はもちろんだが、それ以上に”感じる力”が重要となる。今回は、心のコンディションを整え、感じる力を養うために、日々実践できるマインドフルネスについて学ぶワークショップに参加した。

 マインドフルネスを実践する方法としては、瞑想が最も一般的だが、初心者がいきなり瞑想を始めても、雑念を振り払うことができず大した効果は得られないという。ワークショップの講師を務めた株式会社笑い総研代表取締役の大久保信克氏は、「笑い」こそが、心を整え、速やかに瞑想に至る手段であると同時に、それ単体でも心身にポジティブな影響を与えると語る。
 大久保氏は現在ラフターヨガのトレーナー、アンバサダーとして活動している。ラフターヨガとは、「笑い」とヨガの呼吸法を組み合わせたエクササイズだ。同氏は学生の頃から「笑い」を研究してきた。そのなかで、動作としての「笑い」が持つ価値を見出し、広めたいと考えた。状況や気分に関わらず、動作として笑うことでストレスホルモンは減少し、幸福感が高まるという。
  大久保氏のエクササイズには、軸となる動作が3つある。まず、先ほど説明したラフターヨガ。次に、ジブリッシュだ。ジブリッシュとは、口から出まかせの言葉を言う「ちんぷんかんぷん語」であり、ラフターヨガの重要なコンテンツのひとつだ。発する言葉に意味がないため、思考は止まり、自然と心が整えられる。また、想像力を司る右脳が活性化し、初めて実践する人の中には頭がジンジンする人もいるという。大久保氏の活動における最後の軸は、スキップだ。スキップをするだけで楽しい気分になり、心が軽くなるという。

 では、マインドフルネスを実践する際に最も大切なことは何か。大久保氏は「赤ちゃんに還ること」だという。誰しも赤ちゃんの頃は、自分とそれ以外のものとの境がなく、目の前の事象をそのまま事象として捉えていた。すなわち、赤ちゃんの意識はマインドフルネスの考えが目指す「今此処」にある。

Cap:「今此処」について語る大久保信克氏 

■Don’t think. Feel!  
 講演が終わると、まずジブリッシュを体験した。会場の空気をほぐすため、まず大久保氏がジブリッシュを実演し、参加者がそれを真似る。初めは皆恥ずかしがって、思うように出まかせ言葉が出てこないようだった。筆者自身も周りの目や羞恥心から、なかなか口が開かなかった。しかし、初めに1人で話し、段々と他の参加者との会話を増やしていくといったステップを踏むことで次第に慣れ、最終的には何も考えずとも自然と言葉が出てくるようになった。プログラムの中盤を過ぎたころには、参加者は皆要領を得たようで、論理も意味もないコミュニケーションを楽しんでいるようだった。
 次は、声を出して笑いながらエクササイズをする、ラフターヨガを皆で体験した。笑いながら深呼吸をしたり、スキップをしたりすることでたっぷりと新鮮な酸素を体に取り入れることがラフターヨガの狙いだ。ラフターヨガのコンセプトは「体は作り笑いと本当の笑いを区別できず、どちらも身体的及び精神的な効果を得られる」という科学的根拠に基づいて作られている。筆者も体験しながら、段々と自分がなぜ笑っているのか分からなくなり、途中から思考を止め、ひたすら笑いながら身体を動かしていた。ただ、終わった後にはほどよい疲れと充実感が身体を満たし、心が軽くなったことを実感した。他の参加者からも「途中で訳がわからなくなったけど、楽しかった。スッキリした」との声が聞かれた。
  ジブリッシュとラフターヨガで身体と右脳を使い倒した後は、リラクゼーションの時間だ。大久保氏の指示で、目をつぶり、足の先から順々に身体の力を抜いていく。身体から全ての力が抜けた後に、呼吸に意識を集中する。何も考えず、ただただ呼吸に意識を向けることは不思議と心地よく、寝てしまった参加者もいたようだ。

 リラクゼーションを終え、全員でマインドフルネスを体験した感想をシェアした。「いつも仕事で考え過ぎているので、感覚に任せるという体験は新鮮だった。思考を止める時間を生活に取り入れたい」「激しく動いた後に静かに目を瞑ると、すごく安らかな気分になれた」など、参加者は皆マインドフルネスの効果を実感し、実践への意欲を語っていた。


 思い返せば何かの突破口を見つけたときは、最早何も考えられないというほど考え尽くした後が多かった。これは、意識的に考えるのを止めたわけではないが、疲れで思考が止まり、感じるがままに身を委ねたことで新たな閃きを得る、というマインドフルネスの原理と根本は同じだろう。思考を棄て心が整ったときに、感じる力はようやく力を発揮する。思考を止め、心を整えられるように自分でコントロールができるようになれば、強い武器になると確信した。今回の参加者の多くは、初めてマインドフルネスの世界への門を叩いた人たちばかり。日々の生活で、ひたすら「実践」し、マインドフルネスを極めることで、自身の仕事やプライベートライフを充実させたいと嬉しそうに語っていた。もちろん、筆者も例外にもれず、心ひそかに翌日からの「実践」を心に決め、会場を後にした。


Cap:「実践中!」
                                       (文:酒巻 徹)