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女性後継経営者に聞く!事業承継の勘どころ ~経営者は何を伝え、後継者はどう学ぶのか~

2015.03.15(日)

レポート詳細

2015年3月15日発行 中小企業振興 第1140号 3面に本講座の記事が紹介されました。

 中小企業大学校東京校は3月3日、企業研修課の女性職員が企画・運営する事業承継セ ミナー「女性後継経営者に聞く!事業承継の勘どころ~経営者は何を伝え、後継者はどう学ぶか~」を開催した。

 冒頭、企業研修課の宮里道代課長が中小企業大学校の概要を説明し「とくに東京校では後継者育成に力を入れており、経営後継者研修は36年目を迎えた。女性の参加は毎期1割程度だが、今後は少子高齢社会を反映して女性の役割が増えることが見込まれている。雛祭りの日でもあり、女性による女性後継者のセミナーを企画した」と語った。

 続いて、同課の武石ゆかり研究指導員が「事業承継のポイントと経営者・後継者の役割及び後継者育成の必要性について」と題し講演。シンクタンク調査を通してデータから読み取れる内容を解説した。

 それによると、後継者となる平均は43.7歳で、経営者の承継が遅くなる(高齢化する)ほど、会社の経常利益が減少する傾向にあると指摘。また「後継者は圧倒的に血縁関係で占められていたが、ここ20年で比率が下がり第三者へ承継する割合が増えてきている」と近年の傾向を分析した。

 女性後継者については、社会進出における男女格差であるジェンダーギャップでとらえるのではなく「能力など個人レベルで考えるべきだ。ただ、女性はどうしても家事や育児負担が加わり長時間労働となりがちだ」と男性とは異なる、乗り越えなければいけない障害などを強調した。

 次に対談式セミナーとして、第28期経営後継者研修の修了者で工業用ヒーターの開発製造を手掛ける新熱工業の大谷直子代表取締役社長を招き、武石氏と、女性経営者ならではの問題、事業承継に必要な準備とマインドやスキル、女性経営者としての現状と未来などを語り合った=写真。

 大谷氏は「当初は会社を継ぐつもりは全くなかった。気持ちを整理するために経営後継者研修を受講し、自分自身を見つめ直し覚悟を決めることができた。豊富なカリキュラムであっという間の10カ月だった」と受講生時代を振り返る。

 創業者との確執はなかったのかとの問いかけに対して「経営方針は一致していたので確執はないが、方法論での意見の相違は多く、時間をかけて話し合うようにしている。自分も辛いが、創業者である父はもっと辛いのではないか、と思う。自分の論理だけでなく創業者の気持ちをくみ取る必要がある」と強調した。