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【レポート】Open Talking スナック 〜今回のテーマは「働き方」〜

2017.05.29(月)

19:00-21:00

レポート詳細


■内容は参加者次第!
 
 生活環境や思考様式、社会情勢の変化によって人々の「働き方」に対する考えは変わってきている。仕事を「ライフワーク」とし、ある種使命的に働く人もいれば、仕事を「ライスワーク」とし、生きるための手段としている人もいる。多様な働き方を認める風土は徐々にではあるが浸透してきており、それを実現するための技術的障壁も取り崩されてきている。従来の「働き方」が常識ではなくなっていく、現代はまさにその過渡期にあると言えるだろう。「Open Talking スナック」と題された今回のイベントは、いつもの講演会スタイルとは異なり、参加者自身が「働き方」という枠組みの中でいくつかのテーマを設定し、自分が話したいテーマで分科会を作り、自由に話し合うと言う形式で進められた。TIP*Sで日々行われるイベントは、ゲストの講演(インプット)を受け、その感想や意見を共有(アウトプット)することで自身のアクションにつなげることを重視しているが、この「Open Talking スナック」は、参加者同士の対話を通して新たな気づきやつながりを得ることに重点を置いている。

Cap:個性あるテーマの数々(参加も移動も自由)

■「働き方」を考え続けた2時間

 今回筆者は参加者として3つの分科会に参加した。それぞれで話し合った内容について紹介する。

 筆者が最初に参加した分科会は「チームをうまく(世代を繋ぐ)」だ。このテーマを設定した参加者は(以下、”ホスト”)は、勤務先で配属されたチームでジェネレーションギャップを感じ、良い解決策はないか皆に問いかけたいと考えていた。様々なバックグランドを持つ参加者たちは、ホストの悩みに対して、「明確でフェアなルールをチーム内で採用すべき」「自分が責任を取ると言うことを宣言し、若手の意見を積極的に採用すると良い」「業務外のコミュニケーションが重要だ」など、自らが実践し有効だった対応策を語り合った。

 次に参加した分科会のテーマは、「100さいまで働くって?」。このテーマを設定したホストは、平均寿命が伸び、高齢化が進む中で、生涯働き続けるということについて参加者がどのように考えているのか興味を持っていた。皆で意見を交わし合う内に「健康」というワードが浮かび上がった。高齢者人口が増え続ける環境のなかで、生産年齢の上昇が起こることは避けられない。しかし、年齢を重ねるごとに体力が低下していくと言う現実は確かに存在する。「健康」を意識せざるを得なくなったときに、やりたいことをやるべきなのか、やれることをやるべきなのかと言う議論はイベント終了間際まで続いた。

 最後に参加したのは、「テレワーク」についての分科会だ。システムエンジニアとして働くこと分科会のホストは、現状のテレワークの課題を参加者に問いかけた。参加者からは「皆で作業するぶんにはいいが、会議などには向かない」「民間での導入はまだまだ下火、政府がもっと力を入れるように働きかけるべき」といった率直な意見が出た。しばらくテレワークが抱える課題について話し合っていたが、一人の参加者の「テレワークを導入するメリットについて語りたい」という言葉で議論の流れは変わった。テレワークが普及すれば妊婦や傷病者など、これまで仕事を中断せざるを得なかった人たちの仕事の機会が増える。さらに、子育てや介護などでフルタイムでの就労が難しい人たちに対しても、新たな雇用体系を提案することができる。皆がテレワークを導入するメリットの大きさを改めて認識したところで、終了の合図が鳴った。

 各分科会のなかで、様々な人の考えに触れるたびに「こういう考えもあるんだ」と言う驚きと、「同じことを考えている人がいるんだ」という安堵感、そして「自分って実はこういう風に思っていたんだな」という気づきの連続だった。これらの感覚は筆者だけが感じたことではなく、参加者の言葉の節々や表情からも、他の参加者が筆者と同じような感覚を共有していることがわかった。


Cap:セカンドライフ、何をする?

 

■学びは違いの中にある

 分科会での話し合いを終え、全体で感想や気づきをシェアする時間が設けられた。参加者のコメントをいくつか抜粋して紹介する。
「働くということ=社会に貢献しているということを再認識できた」(デザイナー)
「まだまだ知識が足りない、就職するまでにこういった場を持てたことは本当に良かった」(学生)
「働き方について民間の人たちと通じるところが多かった。今日得た言葉をヒントにして、働き方というものをもう一度見直したい」(省庁)
「副業と複業という言葉が新鮮だった。多様な働き方を認める社会の確立に貢献したいと思った」(個人事業主)
「ワークとライフは分けられない。自分にとってワークイズライフだと再確認できた」(ライター)
「ひとりで抱えていたモヤモヤが解消された。これからは自分の仕事が誰の役に立っているのかを意識しながら働きたい」(公務員)

 「働き方」は一様ではない。働く時間も、働く場所も、働くことへの考え方も人によって異なる。異なるからこそ、刺激になる。参加者は皆、その刺激を心から楽しんでいる様子が窺えた。司会者が終了の合図を出しても、参加者の話しはなかなか終わらない。

刺激の数だけ学びがある。今回のイベントで参加者が得た刺激や学びは、参加者の今後の「働き方」にどのような影響を与えるのだろうか。ここに集った参加者と将来また集まって、それぞれの「働き方」について再び語り合える日がとても楽しみになった。

(文:酒巻 徹)