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『事業創造TOKYO LEAGUE』開幕−ベンチャーと大企業の”協創”で生み出す新規事業−

2016.01.20(水)

レポート詳細

2016年2月1日発行 中小企業振興 第1161号 2面に本イベントの記事が紹介されました。

日本政策金融公庫(日本公庫)、中小機構、エコッツェリア協会の3者は、大企業とベンチャー企業の関係者、それに両者の橋渡し役らが一堂に集い、相互のオープンイノベーション(社外との協業による技術革新)の可能性や課題を探るのを狙いに、「『事業創造TOKYO LEAGUE』開幕―ベンチャーと大企業の〝協創〟で生み出す新規事業―」と題するセッションを1月20日に東京・大手町のTIP*S/3×3Laboで開催した。

研究開発型企業の起業家3人を含めたゲストスピーカー5人が講演、それを受けて約80人の参加者が5人ずつのグループに分かれて意見交換した。引き続く交流会でも名刺や情報を活発に交換し、互いに人脈づくりに励んだ。

セッションでは最初に、経営パワー(東京都千代田区)の岩井利仁代表取締役社長が基調講演した。岩井氏はパナソニックで社内ベンチャー制度を創設し、数多くの新規事業を手掛けたあと、2014年12月末に55歳で早期定年退職し、6日後の昨年1月6日に現在のコンサルティング会社を起業したと自己紹介。「大企業よりも技術力のあるベンチャーは存在しないというのが大企業の技術者の本音なので、それを踏まえて対応することが大事」などと、ベンチャーが大企業と連携する糸口を見つける方法を詳述し、「オープンイノベーションとは個人と個人の付き合いだ」と強調した。

続いて、NTTデータの角谷恭一イノベーション推進部オープンイノベーション事業創発室課長が同社によるベンチャーとの事業創出に向けた取り組みである「豊洲の港から」と「オープンビジネスコンテスト」について説明した。それによると、いずれも同社が持っているIT(情報技術)ソリューションを活用する新規事業をベンチャーに提案してもらうのを狙いに実施。「豊洲の港から」は月1回開催で「AI(人工知能)」「ウェアラブル」など毎回テーマを決めて夕方から会議を開いており、登録会員は約2000人にのぼる。ビジネスコンテストは年2回開催で、「きょうの交流会で名刺交換した方についても登録し、2月の本選に招待する」と、ベンチャー関係者に呼びかけた。

起業家の講演ではまず、名古屋大学発ベンチャーであるヘルスケアシステムズ(東京都千代田区)の瀧本陽介代表取締役が登壇。「生活習慣を見直すことを目的とした郵送検査キット4商品を販売している」など事業内容を説明し、「パートナーの方々をどれだけ作れるかがこれからのビジネスのポイントだと思う」と話した。

続いて、週刊誌『アエラ』の特集「日本を動かすベンチャー100」に選ばれたwizpra(ウィズプラ、東京都中央区)の今西良光代表取締役CEOが講演。飲食店などの接客に対する顧客の評価などのデータをクラウドで集めて当該企業のCS(顧客満足)部門などにフィードバックしていると事業内容を説明したうえで、大企業はベンチャーと連携する際に期限を区切るケースが多いが、「ベンチャーの側としては末永いお付き合いをしていただきたい」と訴えた。

京都大学で博士号を取得し、米コロンビア大学などで研究生活を続けたあと起業家に転じたTL Genomics(東京都小金井市)の久保知大代表取締役は、「創業して1年くらいだが、今のところ大企業とコラボしてうまくいくというイメージが描けないので、この機会にアイデアをいただきたい」と前置きし、新しい出生前診断法の開発・事業化という同社の取り組みを説明した。それによると、羊水検査は妊娠20週で受けられるのに対し、同社の検査は10週で受けられ、しかも非侵襲で確定診断できるのが特徴。当面、診断用の細胞を自動で識別・回収する装置の開発などを大企業に委託する考えだ。

その後のワークショップは5人ずつのテーブルに大企業、ベンチャー、橋渡し役のそれぞれの立場の人が座って意見交換。終了後に、「大企業は喫煙室をつぶしてベンチャー企業関係者が常時詰められる場所を作るべきだ」など一部有志の意見が披露された。